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2022.2.20 最終確認

難問! PlusをHDDから起動する

PlusのSCSIポートは正式なSCSI規格対応ではない

最初のMacとの出会いがPlusとSEだった筆者は、「PlusにはSCSIポートがあるのだから、外付けSCSIハードディスクをつないでHDD運用できる」と、何の疑問も持たずについ先日までそう思い込んでおりました。(当時はフロッピーで運用していたため)

当店にOS入り外付けHDDが修理に持ち込まれていたPlusがHDD起動できなかったことが、この半年間の膨大な確認テストに入るきっかけでした。

これもひとえにPlusのロジックボードのSCSI回路(ROMもふくめて)が、ANSI(米国国家規格協会)がSCSI規格を決定する前に設計された「Apple 独自のSCSI仕様」であることに起因します。

ここに単独の詳細ページを起こし、PlusをHDDから起動するためのノウハウを徹底解説します。

 

なお、Apple純正HDD以外でPlusを起動するには、iomega社のZIPドライブ(100MB)、またはオーストラリア製「SCSI2SD ver.5」などのSD-SCSI変換基板が使えることが知られています。

おことわり

当ページは、システム入りの2DDフロッピー」だけで最終的にHDD起動が使えるようにすることを目的に記述しています。

当ページの説明は、システム入り2DDフロッピーでPlusをFD起動できる段階になっていることが前提です。(ほかのMacやWindows機などを併用した)起動フロッピーや各フォーマッタソフトの入手経路、ダウンロード後の展開などの詳細説明は省略しますので、当サイト内およびネット上の情報を参考にがんばってください。

本ページの試験で使用したPlus側での起動フロッピーは、System 6.0.4Eの「System」と「Finder」、それにSCSI確認用の「SCSI-Probe」の3個のアイコンから構成されたシンプルな「System Folder」です。

Plusでの最終的なHDD起動の確認も、HDDフォーマット後に起動フロッピーからそのままHDDにドラッグコピーした「System Folder」で行いました。

また、本ページにおけるHDDはいずれも内蔵用SCSI ハードディスクのはだかのドライブです。外付けHDD内のハードディスクが故障して、その交換用のドライブを選定するという状況のもとに記述してあります。

Plus からはSCSI バス回路にTerm Power の+5Vが出力されていませんので、改造などでPlus にHDDを内蔵させる場合は、内蔵50ピンコネクタの26番ピン(=外部D-Sub25コネクタの25番ピンと同じ)に外部からTerm Power 用+5Vを供給しないと、いくら内蔵HDDをジャンパー設定などでターミネーションしても、そのターミネーションは有効になりませんので注意ください。(あとでも触れます)

 まずはネット情報を収集

国内外を問わず確実な記述はどこにもない

PlusでHDD起動しているユーザーは世界中にも日本にもたくさんいるはずなのに、実際にはHDDから起動している画面の写真すら見つけらません。

ブログやコミュニティなどで見受けられるのは「PlusでのHDD起動には、ハードディスクの銘柄、使用するフォーマッタソフトやSCSIコネクタケーブルなどでずいぶん苦労した」という苦労話。(どう解決したのか詳細を書いてくれ〜という心境です)

 

とりあえずネット上の情報を整理すると、

 (1)PlusのSCSIポートはISOでSCSI規格が正式にスタートする以前に設計されたもので、電源投入直後のUnit Attentionに対するの動作が正規のSCSI

    は異なるため、正規SCSI規格のHDDから起動できない。このUnit Attentionでの問題を回避するためにMacモードを搭載した、限られた種類のHDD

    からしか起動できない。

 (2)Plusの外部SCSIポート(D-Sub25ピンの25番ピン)には、Term Power(= +5V)が内部接続されていない。

 (3)Unit Attentionにうまく対応できない場合でも、40ピンを切断して、Silverlining 6でフォーマットすればMO起動ができる。

 (4)Plusには、この当時、フロッピーポートに接続するApple HD-20という純正外部20MBハードディスクが存在した。

 (5)Artmix社のSD Power Monster (SD-SCSI変換器)では、ユーティリティでUnit Attention対応を有効化できるので、Plusの起動ドライブにできる。

 (6)Artmix社のAztec Monster (IDE-SCSI変換器)では、Plusの起動ドライブには使えない。

 (7)外部SCSI接続には、Apple純正のフルピッチ50ピンSCSIケーブルが必要。(筆者注:真偽不明)

などの情報はあっても、具体的に市販の2GB前後のSCSI 外付けHDD(IDE-SCSI変換ではないタイプ)を起動ドライブにできたという実例がはまったく見つかりません。それでもありがたいことに、(3)のフォーマッタソフトのSilverlining 6、それに(1)と(5)に出てくる「Unit Attention」が糸口となりました。

 

一方で、少なくとも筆者のテストに使用したHDDでは(3)の40ピン(RSTリセット信号=外部D-Sub25ピンでいうと4番ピン)を切断する処理は、まったく効果がありませんでした。

また(7)の純正ケーブルの件は、SCSI バスの線長にたいする配慮せよとの忠告なのか、(2)の内部接続されていないことに対する何かApple独自のケーブル仕様らしき推測なのか、いずれにしても必然性と根拠にとぼしい「必要性」のように思われます。

 最初の突破口は Silverlining 6.0.1

「Silverlining はダメ」 - 80ピンHDDフォーマット時の失敗経験の先入観がアダに

前述のように修理であずかったPlusを、なんとかHDD起動できる仕組みを見つけてから返却しようと、前項の情報をもとに40ピン(RSTリセット信号=外部D-Sub25ピンでいうと4番ピン)の切断や、Unit Attention のキーワードからPlus のロジックボードのROMバージョンをバージョン2から3へ書き換えるなど、機材と多くの手間を費やしたにもかからわず、解決法がみつからずに行き詰っていたところ、前項の(3)の「Silverlining 6でフォーマット」の部分を思い出し、早速実行してみることにしました。

あまっていた「ClassicII の内蔵用に使われていた105MB(富士通製M2616ESA)」をIOデータ製の外付け2GBの入っていたケースに入れて、System 6.0.4EとSilverlining 6.0.1(216KB)が入った2DDのフロッピー(合計635KB)から起動して Silverlining 6.0.1でフォーマットしたところ、問題なく終了し105MB(富士通製M2616ESA)からの漢字Talk6.0.7がすんなり起動しました。(このときのROMはノーマルな日本語バージョン、つまりUSのバージョン2相当です。)

接続もふつうのハーフピッチ・ピンタイプケーブル。ターミネーション抵抗付きのHDDなので外付けのアクティブターミネータは使用しませんでした。インターリーブ設定は3:1です。

Silverlining のどのバージョンが有効なのかを確認するため、上記の構成のまま同じ条件でSilverliningのバージョンを5.3.1(244KB)に変更してやってみたところ、フォーマット途中でエラー終了となりました。「Silverlining 6でフォーマットでうまくいった」のネット情報が正しいことが確認されました。

  **

以前、80ピンのHDDフォーマット試験にでSilverlining のどのバージョンを使うかを決める際に、候補のSilverlining 6 は対応OSの情報がどこにもないことから即却下となり、その上位のSilverlining Pro 6.1は「System7.0以降の対応」となっていることから、漢字Talk 6での運用も視野に入れて入手可能な最も古いSilverlining 5.3.1に決めました。しかし各機種での80ピンのフォーマットテストは散々な結果に終わったことから、この時点では Silverlining は「昔の50ピンHDDにたいしては優秀なフォーマッタかもしれないが80ピンなどのWideSCSIには合わない」と理解していました。

筆者の頭の中では、いつの間にか「バージョン 6もどうせ 5.3.1 と同じだろうから、Silverlining は50ピン、80ピンにかかわらず一切ダメ」という意識にすり替わっており前項の(3)での「Silverlining 」の情報には見向きもしませんでした。しかし、さすがにもう打つ手がないので、実際に6.0.1をダウンロードしてやってみたところ、思いがけず見事成功してしまいました。

  **

後述の追加試験ではフォーマッタソフトにHDT1.8 とLido7.56 を使っていますが、いずれもPlus用には不合格で、Silverlining 6.0.1様さまという結果です。

Silverlining Pro 6.1はネット配信時点でCD-ROMイメージのファイルため、Plus用には不向きのと判断し却下しました。

 結論

Plus をHDDから起動させる3つの必須条件

AppleがPlusにおいて保証するのはあくまでもApple純正外付けハードディスク(20MB)だけであって、その他のドライブは誰もPlus からHDD起動できると保証していません。(Appleは「ROMバージョン3でUnit Attention を返す機器の問題を解決した」と公表していますが、直接「HDD起動できる」とは表記していません)運悪く、以下に示す3つの必須条件に合致しているにもかかわらずHDD起動できないHDDに当たった場合は、自己責任と納得してください。

筆者が実施した後述のテストの結論となる次の3つの必須条件が、100%必ずしも正しいとは限りませんが、起動できた理由と起動できなかった理由をそれぞれ考察することで、3つの必須条件は、少なくとも100MB〜9.1GBの総容量をもつすべてのSCSIハードディスクドライブに適用されるものであろうと確信します。

必須条件1

  フォーマットソフトは Silverlining 6.0.1を使う

    すでに他Mac機で使われていたHDDであれば、Silverlining 6.0.1では必ずしもフォーマット(Format)しなくても、イニシャライズ(Initialize)だ

    けでもHDD起動に使えるようになります。(中身のデータは消去されてしまいますが)

       ただし、Plusではインターリーブ設定が必要になる可能性があるので、ちゃんとFormat & Initialize したほうが無難です。

    フォーマットソフトは、もうひとつ(要改造ですが)Apple HDSC setup改」が使えるかもしれません。(後述「試験結果の考察」の項参照)

 

必須条件2

  HDDの要件は、総容量4.3GB(4.5GB)以下の50ピンタイプのシングルエンド(SE)タイプ

   フォーマット後のイニシャライズ(Initialize、初期化)の段階では、2048MB以下のパーティションサイズを指定します。複数パーティションも作成可です。

      (後日検証により、Seagate ST32150Nなどは、条件1と3を満たしていてもHDD起動は不可でした。

       ROMバージョンが3であることは、幅広いHDDの選択肢の観点からは、大きなポイントですが、より確実に中古市場でPlus用のHDDを選ぶ指針としては

       ジャンパー設定で「Disable Unit Attenntion の項目があるドライブが望ましいと考えます。

       本ページ後述の「Silverlining 6.0.1 フォーマット結果のすべて」を参照。(追記 2022.2.8)

 

   68ピン、80ピンタイプのWide SCSI ドライブの場合は、変換基板を併用しても記憶容量にかかわらず使用不可です。

 

必須条件3

(1)Plus のロジックボードのROMが「バージョン3 (High=342-0341-C, Low=342-0342-B)の場合

   上記2つの条件を満たすHDDは問題なくその多くがHDD起動可能 (修正 2022.2.8)

 

(2)Plus のロジックボードのROMが「バージョン2 (High=342-0341-B, Low=342-0342-A)

                   および日本語ROM (High=342-0441-A, Low=342-0442-A) の場合

   上記2つの条件を満たし、かつHDD上のジャンパー設定で「Unit Attention」に関する項目がある場合は、「Unit Attention 状態を無効に設定」でHDD起動可

   上記2つの条件を満たし、かつHDD上のジャンパー設定で「Unit Attention」に関する項目がない場合は、個々のHDDによって可否はまちまち

 

     (注)米国向けおよびインターナショナル向けPlusにはバージョン2、およびバージョン3のROMが存在しますが、日本向けPlus (キャノン販売があつ

        かったPlus)の日本語ROMは、英語バージョン2を一部日本語化したもので、「日本語ROMバージョン3」に相当するものは実在しません。

        日本向けPlus のロジックボードに、そのままバージョン3 のROMを載せ換えても問題ありません。

Plus 内部に内蔵HDDを設置する場合の注意点

Plus のSCSI回路は、Unit Attention 応答関連の非対応や、68や80ピンのWide SCSI ドライブを50ピン変換しても使えないというだけではなく、Plus 側からSCSI バスにTerm Power 用の+5V電源が出力されていないという点が、ほかのSCSI -Mac機にない特殊な点です。

外付けHDDの場合は、外付けHDD内の電源ユニットの+5Vからドライブユニットの26番ピンにTerm Power (ターミネーション用の電源)が供給されることが多く、供給されない場合でもジャンパーピンで設定できたりで、とくに気をつけることはありませんが、改造などでPlus 内部に内蔵HDDを設置する場合は、以下の2つの条件を満たす必要があります。

   (1)内蔵HDDをターミネートさせる

       a. ドライブのジャンパー設定で「Terminator」をONにする

       b. a のジャンパー設定が有効にならない場合は、内蔵HDD用の貫通型ターミネータを装着する(参考はこちら

 

   (2)ドライブの50ピンコネクタの26番ピンに+5Vを供給する

          (最初から26番ピンに+5Vが供給されていて、ドライブがSCSI認識されている場合はなにもしない)

       a. ドライブのジャンパー設定で、HDDドライブからSCSI バスにTerm Powerを供給するように設定する

       b. a のジャンパー設定がなく、(1)のいずれのターミネーション操作でもドライブがSCSI認識されない場合は、+5Vをドライブの26番ピン

        に直接つなぐ

Plus起動のもうひとつのカギをにぎる HDD の Unit Attention

Unit Attention とは

SCSI制御の中で使われる、ある「状態」をさす言葉で、ANSI(米国国家規格協会)でSCSI 規格が正式に制定された1986年に以降に新規開発されたHDDでは、電源が投入されたデバイスはまず「Unit Attention」という、状態にならなければなりません。

うまく説明ができませんが、たとえていうなら、会議などで議長から「発言したい人がいますか?」と向けられたときに手を挙げて発言権をもらうときの、「(発言を求められている一定時間の内に)手を挙げる状態」に相当するのが「Unit Attention」状態です。

 

Plus だけは Unit Attention モードの設定が内部的に必須

Unit Attentionには適切な日本語訳がないので、当サイトでは筆者が勝手にUnit Attention(私が返事しますよ)と日本語で併記しますが、SCSI に対応したMacの中でも、ROMのバージョンが 2 および日本語の Plus だけが「Unit Attention」という状態そのものが理解できない唯一のモデルです。

正式なSCSI規格のHDDは自分自身に電源が投入されたときに、ロジックボードのSCSIコントローラにたいして一定時間(250ms)以内に「Unit Attention(私が返事しますよ)」の応答を返すのですが、Plusのバージョン2および日本向けPlusのロジックボードでは、ROM内にHDDからの「Unit Attention」の応答を受けとるまで一定時間を待つ」というプログラムが存在しません。(ここがPlus が正式なSCSI 規格対応ではないという所以です。)

「Unit Attention」という応答を受けとるまで一定時間だけ待つ」という概念を持たないPlus は、電源投入後、HDDが一定時間内(250ms以内)に準備ができたら合図をしようとしていることにはおかまいなく、250msの時間猶予を認めずに「いきなりデータをよこせ」とHDD に要求してしまうため、HDDのほうは準備がまだできておらず対応できません。つまり、Plus のROM内における起動プロセスの立場から見れば「ドアをノックしたがすぐに返事がなかったので留守だと判断した=HDDを見つけられなかった」という解釈になるため、PlusはHDD起動に進めない状態になります。

この状況下で、ROM交換以外の方法でPlusとHDDがうまくやっていくには、HDD側が折れて「Unit Attention(250msだけ待ってね)」=(遅くなってもちゃんと出ますから)の応答を出さずに、瞬時にPlusの指示に従って、HDD内のシステムフォルダから起動に入る方法があります。

「Unit Attention(私が返事しますよ)」の応答を出さない、つまりHDD自身の設定でUnit Attention モードを無効Disableにすることで、Plusを待たせることなく、瞬時にPlusの指示通り動作開始するということです。

当時のHDDの宣伝文句に使われたMac(Plus)専用モードとは、Mac用の特別な仕掛けではなく、こうした一般的なUnit Attention をON/OFFする機能で、PlusでもDisable Unit Attention をON(有効)にして使えるようにした動作モードを搭載していると、わかりやすく表したモード名です。

次項に示す筆者の試験の結果、Plus において明示的にDIPスイッチなどで「Unit Attention」の有効と無効を設定できるHDDでは、HDDからの起動はなんら問題ありません。一方、ジャンパーなどの設定用DIPスイッチがないHDDの場合であっても、HDDの基板上の制御プログラムにおいて、PlusのSCSIコントローラからの命令をきちんとみずからが判別してHDD起動できるドライブがあることが確認されました(= Quantum製 Fireball ST4.3S)。つまり、「Unit Attention」の有効/無効の設定項目がないHDDであっても、Plusの起動HDDとして使えるドライブが存在するということです。

以上が、ROMバージョンが 2 および日本語のPlus では、Unit Attention 応答をうまく扱えずにHDD起動できないケースがあるということの説明です。

 

一方、Plus自身もその後、ROMバージョン 3 に進化すると、正式なSCSI 規格のHDDが発するUnit Attention 応答を理解できる(=一定時間じっと待つ)ようになりました。つまり、HDD側はそのままで、Plus側のほうで正式なSCSI規格のルールに順応したということです。

現在は、バージョン 2 および日本向けPlusのロジックボードであっても、ロジックボードはそのままで「High」と「Low」の2個のROMをバージョン3のものに交換すれば、HDDジャンパー設定の「Unit Attention」の有効/無効の設定項目の有無には関係なく、普通にHDDから起動できるようになります。ただし、バージョン 3 になってもPlusと「HDDのドライバ」との相性問題はそのまま残っており、特定のフォーマッタソフト(Silverlining 6.0.1など)で「フォーマット&イニシャライズ」または「再イニシャライズ」をしてやる必要があります。(後述)

 

実際の機器やデバイスでは「 Disable Unit Attention 」と表記

ここまで読んでも、「Unit Attention 」「Disable Unit Attention 」の両方が出てきて、わかりにくいと感じておられることでしょう。

それは、実際の機器やデバイスでは、

  Unit Attention(=私が返事しますよ)の状態

ではなく

  Disable Unit Attention(=Unit Attentionの状態にしない)=「 私が返事しますよ」と答えない

という負論理の使い方や設定表記が一般的だからです。

実際の機器やデバイスでは、わざわざSCSIデバイスの標準動作である「Unit Attention」モードを使わせないように設定すること多く、設定の名称も設定自体も否定形の「Disable Unit Attention」を使っていることが多いようです。

(Disable Unit Attentionを基本とするPlus のSCSIインターフェースでは、SCSIコントローラ側が主君なので、家来のデバイス・HDD側の都合を聞いてから指示を出すというようなことはしないということですね。パソコンではSCSIコントローラとデバイスは対等です。)

 

Plus が HDD起動できないことのきちんとした電気信号的説明

別の方が、ネット上でNiftyのZAK氏の発言ということで引用された解説があります。簡潔で明快な説明です。
 

  http://www.macotakara.jp/m/scsi1.html (リンク許可を取っておりませんので、自分でアクセスしてください) 他人のふんどしです(謝)

実際の表記がじつにまぎらわしい

一般的なSCSI接続ではUnit Attention を基本としているので、Disable Unit Attention 設定ピンはOFF(開放、無効)のモードであり、これについては特にモード名をつけません。(これがノーマルな状態です。)

あえてDisable Unit Attention 設定ピンを意図的にON(ショート、有効)して、デバイス側は「返事をしない、応答を返さない」というモードにして使うとき、これを「Unit Attention モード」をOFF(無効)にするといいます。

    ↑  

「Disable Unit Attention 設定」と「Unit Attention モード」のそれぞれのON-OFF(有効/無効)設定はまったく真逆の関係になっているため、読み手にまぎらわしいだけでなく、筆者自身もいつも混乱に陥っています。

操作上の「Disable Unit Attention 設定」と状況を客観的に示す「Unit Attention モード」の、両側面からのそれぞれの表記方法がありますが、

本サイトでは、客観的な表現で、通常の電源投入で「Unit Attentionの状態になる」→ =「Unit Attentionモード ON」でメイン表記することにします。(「パソコンは操作で覚えるより、概念で覚えろ」が筆者の信条です。操作で覚えると、機種が変わったときに苦労します)

 

言い換えは以下のようになります。

Disable Unit Attentionが有効(ON)」は「Unit Attentionモードが無効」と読み替え、「返事をしない、応答を返さない」=Plusの専用モード

「Unit Attentionが有効」の短縮表記は「Unit Attentionモードが有効」と読み替え、「Unit Attention(私が返事しますよ)」ということです。

Disable Unit Attention の設定が可能なHDDまたは変換基板を入手するのが賢明

SD Power Monster や SD2SCSI などのSDをSCSI化する変換基板のユーティリティでは、「画面上でEnable Unit Attention をOFF(=Unit Attention モードを無効)にすればPlusで起動ディスクになる」ということから、この「Enable Unit Attention 」のOFFは、一般のHDDのマニュアルが表記する「Disble Unit Attention」のONと同義となります。

いずれにせよ、Plus で確実に外付けHDDから起動するためには、純IBM製またはWestern Digital製などのUnit Attention のジャンパー設定用のピンがあるものを選択することが賢明といえます(なくても起動できるものはありますが)。

 

  メーカー別のDisable Unit Attention のジャンパー設定の有無

   あり  純IBM製(=QuantumからのOEMをのぞく)、Western Digital製

   なし  Seagate製、Quantum製

   富士通製はモデルによって異なります。

Silverlining 6.0.1 フォーマット結果のすべて  (全テスト終了)

Plus の環境

フロッピーベースの System 6.0.4E(「Finder」「System」+ SCSI Probe-NT)で起動

ロジックボード 2種

  (1)日本仕様+日本語バージョンROM(USバージョン2相当) 4GBメモり

  (2)米国仕様+ 特殊ROMバージョン3(日本語バージョンROMをバージョン3用に筆者がバイナリ書き換えしたもの) 4GBメモリ

ハードディスク名

容量

[GB]

ピン数

Unit Attention機能

Format

Initialize

初期化

デスクトップ

マウント

HDDからの起動 【判定結果

ROM-Ver.2/日本語

ROM-Ver.3

DUA-ON

DUA-OFF

DUA-ON

DUA-OFF

WD

WDE9100

9.1

80

×(1)

×

×

IBM

DCHS-09Y

9.1

80

(2)

×(3)

×

×

Seagate

ST34371WC

4.3

80

なし

(4)

×

×

HP

D3528C(ST32171WC)

2.1

80

なし

×

×

Seagate

ST32550W

2.1

68

なし

×(6)

×

×

Quantum

Fireball ST4.3S

4.3

50

なし

IBM

DCAS-32160

2.1

50

×

Seagate

ST12400N

2.1

50

なし

富士通

M1603S-512 (SCSI-2)

540MB

50

なし

×

富士通

M2616ESA  (SCSI-1)

105MB

50

(5)

×

◎ 問題なし   △ 追加作業でOK  × 不可     未試験

DUA = Disable Unit Attention のジャンパー設定

(1)

FD起動の途中で再起動を繰り返してテストできない

(2)

SCSI-Probeでの認識が文字列表示なし。フォーマット結果が0バイト表示になる

(3)

サイズ指定してInitializeしてもシステムエラーになる

(4)

フォーマットエラー表示にはなるが、システム再起動すれば 「Pratition のRepair」が要求され、実行後HDDは正常にマウントされる

(5)

設定マニュアルSW-1の4番ピン設定は 「Not Used 」でデフォルトは「OFF」。実際はこれが「Disable Unit Attention」設定ピン。

(6)

なぜかSCSI-Probeでも全く認識できず。(SE/30でマウントできているものをそのままもってきた)

eBay(セカイモン)などで入手しやすい「 Disable Unit Attention 」の設定があるHDD  (追記 2022.2.8)

Unit Attention に関するジャンパー設定があり、かつ現時点において中古市場でで回っているものとなると、IBM製か富士通製ドライブとなります。

IBM製は以下のシリーズ(モデル名)に「 Disable Unit Attention」設定があります。 (当時のカタログ資料やマニュアルからの確認)

  DCAS、DCHS、DDRS、DFHS、DGHS、DNES、DORS、DPSS、DSAS

 

当店では上記テストでのDCASモデルしか検証しておらず、他のものについては自己責任で対応ください。

【追試1】 他機でフォーマットしたHDDをPlusにつないでHDD起動できるか

最も成績が良かったROMバージョン3のロジックボードと、Unit Attentionの効果がはっきり示されたIBM DCAS-32160 ドライブの組み合わせで、他機でフォーマットして簡易System 6.0.4Eを入れたHDDを、PlusにつないでHDD起動できるかの追加試験です。

 

使用HDD  IBM DCAS-32160 50ピン、2.1GB、 Disable Unit Attention はいずれもON(有効)

他機     SE/30 の漢字Talk 7.5.3

Plus     ロジックボード 米国仕様+ 特殊ROMバージョン3(日本語ROMバージョン≒Ver.2 を筆者がバイナリ書き換えしたもの) 4GBメモリ

  **

(1)SE/30 上で Silverlining 6.0.1 でフォーマットして、System 6.0.4Eフォルダが入ったIBM DCAS-32160の場合

     PlusにつなぎかえてもHDDからの起動はOK

 

(2)SE/30 上で HDT 1.8 でフォーマットして、System6.0.4Eフォルダが入ったIBM DCAS-32160の場合

     PlusにつなぎかえてもHDDからの起動途中で、ファイルにダメージがあるというメッセージのシステムエラー でNG

     ただし、Plus上でSilverlining 6.0.1 を使ってイニシャライズ(Initialize)すれば、(元のデータは消えるが)HDD起動できるようになります。

     このことは、他機でフォーマットまでできていれば、Silverlining 6.0.1 側では再フォーマットするプロセスは不要であることを示します。

 

(3)SE/30 上で Lido 7.56でフォーマットして、System 6.0.4Eフォルダが入ったIBM DCAS-32160の場合

     PlusにつなぎかえてもHDDからの起動反応はなく「?」アイコンのままでNG

     (2)と同じで、Plus上のSilverlining 6.0.1 イニシャライズで、(元のデータは消えるが)HDD起動できるようになります。

 

この結果、他機で Silverlining 6.0.1 でフォーマットしたものならPlus(ROMバージョン3)でもHDD起動できるということになります。

(また自身でSilverlining 6.0.1 でフォーマット&HDD起動できるROMバージョン2のPlus にも、他機で Silverlining 6.0.1 でフォーマットしたHDDから起動できます。ただ、他機で「インターリーブ設定」をPlus用(1:3)でフォーマットしていない場合、状況によっては、再フォーマットが必要になる可能性はあります。)

いずれもSE/30でフォーマットされたHDDは、そのままPlus のデータ用HDDとしてそのまま使うことは可能です。

フォーマット試験結果にたいする考察

試験したHP製のドライブもSeagate社のOEMなので、事実上のSeagate製の2.1GBドライブ3台のうち、Plus で使えたのは50ピンタイプ(型番の末尾が"N")だけでした。また、SE以降では80ピンなどのWide SCSI規格のドライブを[ 変換基板+ターミネータ ]を使って50ピンドライブとして使用できるのに対して、本試験の結果、メーカーを問わずPlus はWideSCSIタイプと9.1GB容量のドライブはまったく対応できないという結果となりました。これはロジックボード(SCSIコントローラ)自体がもともと、そのような高性能、大容量に対応していないことによるものと考えられます。

  **

Unit Attention対応については、PlusのROMバージョン 3 の説明

「Fixed bug for drives that return Unit Attention on power up or reset. Basically took the SCSI bus Reset command out of the boot sequence loop, so it will only reset once during boot sequence. 」(パワーオンやリセットのときUnit Attentionを返すSCSI機器に対する問題を解決)と明確に示しているように、ROMバージョン 3 はDisable Unit Attention設定がある50ピンドライブだけでなく、Quantum製や富士通製のDisable Unit Attention設定がないドライブも基本的に起動サポートしています。

ROMバージョン 2 の古いロジックボードのままであっても、Disable Unit Attention設定をON(有効)設定できるドライブであれば、HDDから起動できることを示す結果となりました。

特異な例としてQuantum製4.3GBは、Disable Unit Attention設定がないにもかかわらず、ROMバージョン2のロジックボードでもHDD起動できるのですが、推測としては、Apple純正HDDのドライバ部分となんらかの共通性があるからかもしれません。(のちにQuantumはApple純正ドライブのOEM筆頭メーカーになりましたので)

逆に富士通製は、最初期のドライブはUnit Attention設定が隠れ対応(資料には出てこないが実際にはオプション扱いのジャンパーピンが対応)しているものの、後出しのモデルでは正規SCSI規格にあわせてなのかUnit Attentionに関する設定がなくなっていて起動結果が異なっており、ROMバージョンが 2 および日本語のPlus を所有しているPlus ユーザーは、中古HDDの入手時には、型番ごとに資料などで設定項目の有無を確認してから購入を決めないと、無駄な買い物になる可能性が出てきます。

  **

フォーマッタソフトはフォーマット時にHDDドライバを書き込みますがSilverlining 6.0.1 が、PlusのSCSIコントローラ用にうまく適応している事実は、Silverlining 6.0.1 ドライバが純正フォーマッタのApple HDSC setupに近いことを伺わせます。

Apple HDSC setup はApple純正HDDのみに使えるフォーマッタソフトです。AppleはHDDを自社生産していませんから、Apple純正HDDとしてOEM納入し、Apple用のHDDドライバーを作っている開発元が必ず存在するはずで、Silverlining はそこと何らかの関連があるのかもしれません。

試しに、Apple HDSC setupをサード製HDDにも使えるように改造した「Apple HDSC setup改」を使ってみたところ、M2616ESAではSilverlining 6.0.1と同じ結果となりました。筆者は、Silverlining 6.0.1で良い結果に終わったほかの50ピンタイプのHDDについても、同様にうまくHDD起動できる可能性は高いと予測しますが、これ以上の追加試験は行いません。

Apple HDSC setup改でも、WideSCSIのSeagate製 ST34371WCとHP製のD3528Cはフォーマットできませんでした。WideSCSIや大容量への対応はSilverlining 6.0.1よりも悪そうです。

  **

では、IDE-SCSI変換タイプの外付けSCSIハードディスクを、中身を4.5GB以下のIDEまたはDOMに変更した場合の

  (1)Silverlining 6.0.1でフォーマットできるか? さらにPlusでHDD起動できるか?

  (2)Logitec製のSCSI/USB両用の場合に(1)の試験結果はどうなるか?

は、興味のある調査事項ですが、機会があればやってみます。

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