丸真商店

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特記なきはすべて新品商品
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2018.4.28 最終確認

SE/30 修理サービス
 二つの脅威がリアルタイムで進行中   
「いつか治そう... 」でも、これでは廃棄処分  いまなら まだ間に合うコンデンサ交換

最悪な 3.6V 内蔵電池の液もれ

発売当時の3.6V内蔵電池(塩化チオニルリチウム電池)をつけたまま長期保管すると、電池が液もれして100%修理不能の壊滅状態を引き起こします。もれた塩化チオニルから塩化水素や亜硫酸ガスが発生し筐体内面の塗装もはがれ落ちごらんのとおり。(左の写真です)恐るべし1/2AA電池。これからも大切にSE/30を使うには内蔵電池の定期的な監視が必要です

もれたコンデンサ電解液の深刻な影響

新品購入時からSE/30のロジックボードについたままの電解コンデンサ(四級塩電解液使用)のほとんどは、現在、液もれを起こしています。

この電解液は年ごとに基板そのものを腐食し続け、基板パターンの断線は確実に進行し、修理をより困難にします。

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内蔵電池れの状況。当店でもさすがに白旗。

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右下の丸電解コンデンサC7が液もれして足が腐食(赤色枠)。また黄色74LS166足が腐食状態となり青サビも進行中

30年前のロジックボード上の修理用パーツを調達できます

SE/30のロジックボードを構成するパーツは、新品での入手が不可能なApple向けのオリジナル製品グループ(GRUEチップ、PALチップ、RTCチップ、ネットワークフィルタ)と、生産終了により入手がむずかい市販品(30ピンメモりスロット、表面実装74Fシリーズ、SCSI制御用53C80チップ、MC68030CPUなど)の二つのグループがあり、後者が全体の9割を占めています。

当店では後者については新品部品の調達ルートを確保し、前者のオリジナル部品も過熱や足の曲げなどのストレスがない方法で移植できる態勢を確立しました。部品が必要な場合はご相談ください。

この勇姿をもう一度デスクに置こう!

生々しい内蔵電池の液もれ(赤いMaxell製は要注意)

当店のSE/30向け修理サービスはつねに進化

コンデンサ交換サービスから始めた当店のSE/30の修理サービスは年々進化し、SE/30回路図はすべてイラストレータで書き直したうえで解析を続け、ハンダゴての特殊こて先の自前製作や国産低温ハンダ発売の恩恵も受けながら、ロジックボード上のほぼすべての部品の取りはずしと交換ができるようになりました。

欧米の修理で見かける「ロジックボードの水洗い」も準備はしてありますが、出番がありません。(完全レストアをお受けするときには使えるかも)


またコンデンサ交換では修理できないケースがけっこう多い「シマシマック」についても、ロジックアナライザの導入をはじめ、創意と工夫でより短期間で原因が突き止められるよう調査環境を整えました。

修理技術の進化を急がなければ使用可能なSE/30のロジックボードが地球上からまた1枚と姿を消してゆきますので、時間との競争です。

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ロジックボードをむき出しのまま検査。ロジアナはUSBでPCに画面出力。

左端がロジアナ「Analog Discovery2」。信号取り出しボード(手前)とピン数ごとのテストクリップケーブル7種。

秘密兵器I 「IC試験用ロジックボード」。CPUとFPU以外はすべてICソケット化で、ICの良否判別を簡素化。

秘密兵器II 「PDS信号取り出しボード」。信号の一括プルアップが可能。

修理対象のおもな症状

   ■まったく電源が入らない。電源が落ちる。画像が揺れる。

   ■画面が真っ暗、真っ暗で横一本。黒い立てスジが入る。画像が二重表示になる。

   ■ポインタが出てこない。FDから起動できない。SCSIから起動できない。SCSIが認識されない。...など

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「黒い立てスジ」

太い幅の「スジ抜け」

これも横一本のスジの仲間(横方向の線が消える&二重)

画面表示が「横一本」

アイコンやポインタが二重表示される

SE/30の修理サービスの概要

当店はどこまでも愛着ある一台を治すことにこだわる方のために、時間はかかっても丁寧にお手伝いします。

お預かりするすべてのロジックボードにたいしてコンデンサ交換を実施します。(「起動音が出ない」はこれで解消されます)

後述のシマシマック症状をのぞき、修理ができなかった場合は特定商取引に関する法律に基づく表示のとおり代金はいただかず、返送料も当店負担にて返送させていただきます。

修理が難しく途中で修理打ち切りの結論を出す場合は最大1年を限度とし、修理できない場合は、いったん修理契約を終了させていただきます。

 

修理をお引き受けできないSE/30

   水没したり、ヒビ割れ、欠品、外部からの損傷、内蔵電池の液もれで損傷しているロジックボードは修理できません。

 

修理料金と納期について

貴重なSE/30のロジックボードが中古市場ではほとんど単品入手できない現状の中で、当店は基本的にSE/30を部品単位で治しております

他の電子機器でも同じですが、ユニットまるごと交換にくらべて、交換部品単位で修理するのは並大抵のことではありません。

どのように設計・製造したかを踏まえたうえではじめて修理ができるからです。古いうえに保管状況が悪い場合は複数箇所が故障しているケースも多く、修理期間も1日から数ヶ月まで、何日で治るとも確約できません。今回より下記のように修理料金体系を変更しますが、納期回答につきましてはいたしかねます。

ヤフオク落札依頼、直接のご依頼とも、ロジックボードのコンデンサ交換と最終的に修理金額に組み込まれる見積り費用である 16,000円 最低限お支払いいただくベースの金額です。

修理料金につきましては「Macintosh修理料金表」を参照ください。

ただ、緊急の場合は「ロジックボードの修理」ではなく「ロジックボード交換」で対応できる場合がありますのでお問い合わせください。

症状に関する注意1. 「画面が真っ暗」「横一文字」「縦一文字」「電源が入らない」の場合

「画面が真っ暗」「横一文字」「縦一文字」「電源が入らない」などでデスクトップ画面が1/3以上見えなくなっている機体については、ロジックボードにおいてシマシマック症状をすでに併発している場合がありますので、後述の「シマシマックの場合」の項を必ずお読みください。

症状に関する注意2. シマシマックの場合

以下の写真1〜3はいずれも「シマシマック」(英文サイトでは" jail bars "または" SimasiMac")と呼ばれる症状の画面です。(詳細はこちら

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【写真1】一番ポピュラーなヨコシマのシマシマック(英語では" jail bars "とも表記)

【写真2】これもよくある「立てシマ」。「Repair Mac 」サイトでは「すだれ模様」と表記。

【写真3】下方に向けて格子の大きさが大きくなる「多段格子状」

シマシマックの修理料金は一律で、52,000円または12,000円です。

当店では、「SE/30コンデンサ交換サービス」ではシマシマック症状の解決を保証しておらず、シマシマックがコンデンサ交換で治る確率は20%以下ですが、コンデンサ交換だけで運良く解消すれば修理費用は12,000円となります。(送料別)

シマシマックは、原因も処置も広範囲におよぶうえ、修理に6ケ月以上(長いものでは数年以上かかっています)かかる可能性があります。

以下の2つのケースではシマシマックの修理料金の条件が異なります。

 

1. すでにシマシマック状態になっている場合

シマシマック」の機体は、とりあえず次項の「SE/30コンデンサ交換サービス(12,000円)の対象としてお預かりします。

「コンデンサ交換サービス」と同様の作業してもシマシマックが解決しない場合に、以下の対応をご選択いただくことになります。

  (1)12,000円と返送料をお支払いいただき、この時点で修理中止とする

  (2)12,000円をお支払いいただいたうえで、シマシマック修理総費用52,000円を続行する

        (修理完了時にヤフオク落札分12,000との差額40,000円をご請求

 

最終的にシマシマックの修理ができなかったとしても「SE/30コンデンサ交換サービス」に相当する費用12,000円は返金いたしません。

これは「SE/30コンデンサ交換サービス」の内容を自分で対応できない方に代わって、当店が単純に交換作業を代行する性質のものであり、仮にユーザーが自分でやってみてもシマシマックの発生原因によって異なるため、症状の改善結果が得られるかどうかは保証されないからです。

こうした事情により、シマシマック症状が既知の場合は、結果の如何にかかわらず12,000円「作業工賃」がかかります。

 

2. 修理が進む途中でシマシマックが判明した場合

「画面が真っ暗」「横一文字」「縦一文字」「電源が入らない」などの症状では、画面が全領域(512×342)表示できるようになった時点で「シマシマック状態」が併発していることが初めてわかるケースがあります。

シマシマックが併発していないこと

  (1)起動音が鳴る

  (2)アイコン、ウインドウが出ていることがかすかに見える

  ()FDD、HDDのアクセス動作音がある、アクセスランプが光っている

など、起動プロセスの最初のいずれかの段階で判断できます。

逆にシマシマックが併発していることは、画面が全領域(最低でも上下数センチ幅の画面が)表示できるところまでロジックボードをふくむ全体の修理が進まなければ判断できません。

このため、シマシマックを併発していることが判明した時点で、修理を中止する場合でも画面表示の修復までかかった費用はお支払いいただきます。

最終シマシマック完治の場合は、総費用52,000円(修理完了時にヤフオク落札分16,000円との差額36,000円をご請求)となり、シマシマックが最終的に修理ができなかったとしても「SE/30修理サービス」に相当する費用16,000円は返金いたしません。

SE/30 コンデンサ交換サービス

稼働品を故障予防の目的でコンデンサ交換

これまで当店では、コンデンサ交換サービスを主に「シマシマック」の対症法としてお受けしてきましたが、製造後25年以上が経過している現在では、シマシマックの発生原因が多岐にわたるようになり、コンデンサ交換をメインとし既知の対症法では解決がむずかしくなっています。

このため「ロジックボードの修理」から「コンデンサ交換」を分離し、コンデンサ劣化による故障を予防するための交換という位置づけで、正常に稼働しているSE/30のみ受付けします。(実際には液もれしながらも、なんとか踏んばっている機体が多いです)

なお自分でコンデンサ交換にチャレンジしたものの、パターンをはがしてしまって作業を中断しているロジックボードも例外として受付けします。

SE/30 コンデンサ交換  12,000 円
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当交換サービスは料金前払いです。

■ 長期わたって使用できるよう、電解コンデンサのフルセット(C1〜C13)を交換し全体の機内清掃を実施します。

■ C1〜C13はすべて105℃耐熱の長寿命5000時間タイプの立型アルミ電解コンデンサです。一般のパソコンでは2000時間程度のものを使用)

 電源供給用のC2、C11の横型電解は現在生産されておりませんので立型で代用します。

当サービスはロジックボードだけが対象ですが、電源ユニット内部の交換もご希望の場合は4,000円の加算となります。

■ 内蔵電池を新品に交換します。

コンデンサ端子と次のパーツの端子間のパターンが切れている場合は無償にて接続します。

お預かりした時点で正常動作していない場合は、いったん保留とさせていただきます。

■ 内蔵電池の液もれにより内部が損傷している場合は、送料お客様負担でそのまま返却とさせていただきます。

本サービスは、電解コンデンサの交換によって何らかの不具合の修理をお約束するものではありません。

コンデンサ交換によってまったく症状の改善がみられない場合でも料金は返金いたしません(当サービスは自分で交換できない方に代わって
交換作業を単純に代行する性質のものであり、自分で作業できる方がやってみても症状の改善結果が得られるかどうかは保証されないからです。)

当サービスをご利用いただき、コンデンサ交換の結果がふるわずそのままSE/30の修理に進まれる場合は、当料金は全体の修理金額にふくまれます。

当店が修理に表面実装タイプやタンタル電解コンデンサを使わない理由

立型電解コンデンサを使えば次回交換する際にハンダゴて1本で簡単にはずすことができます。また海外で多い固体タイプのタンタル電解コンデンサでの代用をしないのは、タンタルは故障モードが「短絡」であり、コンデンサ自体が故障してショート状態になったときに並列に接続された他の回路も一瞬ですべて短絡状態になり、悪影響をおよぼす懸念があるからです。

近年、電解液を使わない導電性高分子コンデンサが増えていますが、固体タイプではパナソニック製をはじめどれも故障モードが「短絡」で、唯一アルミ電解コンデンサと同じ「開放」なのはルビコン製のPC-CONだけです(2016.11.22現在、同製品群は廃止のようで、PZ-CAP製品群となっているようです)。残念ながら現時点では「16V47uF」の製品はありません。もうしばらくは、アルミ電解コンデンサの世話になる時代が続きます。

表面実装タイプでの交換は見た目はいいですが、取りはずしに400-420℃が設定可能なハンダゴてが2本必要ですし、作業的にも長時間の直接加熱になるためランドパターン(両足部分の長方形)がはがれやすくなります。また、コンデンサの四角いランドと基板パターンが断線している場合は、どうにかしてつなぐ必要があり「見た目がいい」などとはいっていられなくなります。

立型電解コンデンサを使えば1本のハンダごてで作業ができ、パターンはがれの心配もなく、ランドパターンと基板パターン間が断線していても立型電解のリード部分をそのまま延長させて両者をブリッジすることで簡単に修理できるメリットもあります。

アルミ電解コンデンサの経年劣化と電解液もれ

基板のパターン切れの問題が発生

アルミ電解コンデンサは原理的に内部物質の化学反応が進行することで成立する部品ですので、NiMH電池などと同様に未使用状態でも長期保存がききません。基本的な電子部品の中でも他にくらべて極端に短かく、経年による劣化(化学反応の進行)による容量抜けがシマシマックの原因のひとつとなります。

また80年代後半から90年代半ばにかけて、電子機器の基板に表面実装型電解コンデンサには「四級塩電解液」を使ったものがあり、これらは電解液の密閉に問題があり、製造後20年以上もするとほぼ例外なく電解液もれを起こしています。(現在は三級塩電解液)

この電解液によって基板のパターンやスルーホールが腐食され、表面や内部に断線が多発するようになります。

MacではSE/30のほか、IIcx、IIci、Powerbook100、Quadra840AVなどが四級塩電解液使用のコンデンサを使っています。

回路パターンが断線すると「電源は供給されているが画面が真っ暗」や「SCSIが認識されない」など、さまざまな症状が出てきますが、こうなると回路図を追ってジャンパ線で直結するしか方法がなくなってしまいます。

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P1000796Cはずす前

左:もとのコンデンサ 中央:パターンはがれ 右:ニッパーでカット

立型に交換。手前はパターン切れのため黒いジャンパ線で直結

上の交換前の写真では、3個のうち中央のコンデンサは基板パターンごとはずれており、右どなりのコンデンサは座布団部分を残してニッパーでちょんぎられていました。(ニッパー切断は失敗しやすいので要注意です)

この機体ではコンデンサを交換後、多層基板内部の断線も見つかったためジャンパ線で直結処理しました。

 

実装中のICの足のハンダが「絶縁体」に変質

数年間しまいこんできたSE/30の復活はそう簡単ではありません。運良くコンデンサが交換できたとしても、次には、ロジックボードの表面に飛散したり部品の下にもぐり込んだ電解液との戦いが待っています。導体であるはずのハンダが電解液と化合して絶縁体に変質してしまっているのです。

劣化した部品をはずして修理する

修理するためには、まず液もれしているコンデンサやICをはずしそのあと絶縁体になった基板パターンのハンダ部分の研ぎ出しをしなければなりません。

PLCCタイプのICのはずしかたは別ページで解説します。

 

内蔵電池の液もれの場合はは、これらコンデンサの液もれとちがって、限りなく100%に近く治る見込みはありません。

 ハンダの腐食による断線

コンデンサ交換だけで不具合が治る機体は年々減少しています。(数字でいうと10台中1,2台程度)

もれた電解液に近い部品ほど腐食の危険にさらされており、とくに表面実装型ICではリード(足)と基板パターンをつなぐハンダそのものが腐食されています。

表面はずし0034 表面はずし0034

C7のすぐ隣のLS166をはずした直後。ICとパターンの間が腐食してほとんど導通していません。つまり金属光沢であるべきハンダが変質してしまって絶縁体化しています。

研ぎ出し作業後のパターン部分です。このあとLS166をハンダ付けし直します。

上の左側の写真の例では、中央の74LS166(UE8)の16ピンのほとんどがパターンが断線(絶縁)状態になっていました。

断線が2、3ピン程度ならジャンパー線で処理しますが、これだけひどいと将来が心配です。実際に各ピンをパターンの高さまで研ぎ出してみると、右側の写真のように幸いなことにすべてのピンが残っていました。これならハンダ付けで対応が可能です。

はずしたロジックICが使えそうなら再利用しますが、リード自体が腐っている場合は新品に交換します。

プリント基板のパターンの銅箔は35μm(0.035mm)の厚みしかなく、その銅箔の表面にハンダがあるわけで、研ぎ出し作業はこのハンダ部分だけを除去しますから、ヤスリがけに力を入れすぎるとパターンごとはがれてしまいます。平ヤスリの狭い面の先端部分を使って、角丸長方形のパターン1個ごとに長手方向(上の例では画面上下方向)に水平にヤスリがけします。LS166の場合はこれを16個分くり返します。

 → こちらにも参考画像あり

SE/30に使われている74および75シリーズのロジックICの表面実装パッケージは、一般的な5.30mm幅よりも列幅が狭くて入手がむずかしい3.90mm幅のものです。当店ではこれらのロジックICも在庫しています。

 パターン切れ・断線のチェック方法
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パターン切れのチェック方法(表面実装IC編)を公開します。(当店のメシのタネなのでごく一部ということで
 

画面が真っ暗だったり横一本というのは、おもに垂直および水平同期信号に関するロジックIC74シリーズの周辺がC7コンデンサのれた電解液に腐食されていることが原因です

← 一目見ただけでもひどいですね
 

SE/30は表面実装タイプの74および75シリーズが用いられており、もれた電解液はICの足と基板パターンの間にしみ込んできています。

ちゃんと導通しているどうかは、右の写真の「ICの足そのもの」であるつけ根の赤い破線部分と「基板そのもの」であるスルーホールつまり黄色い破線部分のあいだをそれぞれテスターで導通チェックすることで確認できます

この写真の腐食レベルでは、テスター棒はおろか、ハンダゴテさえ受け付けませんので、細目の平ヤスリで黄色、赤色両方の金属面を研ぎ出しながら作業を進めます。

ヤスリで削った金属粉が回路ショートの原因にならないよう工夫してください

表面実装用コンデンサのはずしかた

1.SE/30やIIciの表面実装コンデンサをはずす場合

  30 〜 40 Wのハンダゴテ2本で、両足の付け根をゆっくりと(60秒前後)加熱し、自然にはずれるまで気長に待ちます。

        【注意】こて先に力を入れると、はずれた瞬間にパターンを損傷することがあります。

2.はずれたら、基板パターンのランド(長方形)部分に新しいハンダをつけ、加熱したままコテ先でパターンをこするようにしてこびり

  ついた古い化合物を浮かせます。このとき新しいハンダが増えた分だけ融点が下がります。

3.3mm幅程度のハンダ吸取り線を使って古い化合物の混じったハンダを除去し、再び無水エタノールでふきとります。

  吸取り線をランドパターンの上から加熱しながらすべらすと、除去が早くきれいにできます。(力の入れ過ぎと、パターンのカドへの

  引っかけに注意)

4.はずれたら無水エタノールをしみこませた綿棒で基板上の電解液や汚れをふき取ります。

5.念のためもう一度3と4の作業をくり返して新しい電解コンデンサへの準備は完了です。

表面はずし0034
表面はずし0034 DSCF0008まなぶCD端子サビ

2本のハンダゴテで力をいれず両側からじっくりと加熱します。付け根の黒い樹脂の座布団を熱で溶かしても問題はありません。(写真は別のPCのものを使用しています)

足が緑青(青サビ)状態で腐った状態のコンデンサです。加熱に時間がかかります。(写真は別のPCのものを使用しています)

加熱してもなかなか外れない場合

はずれるまで加熱するしかありません。けっして力を入れてはいけません。

ワット数の低いコテではいくらやってもダメですし、逆にニクロムの60W以上のものは熱量が大きすぎて確実にパターンを損傷します。

できればセラミックヒータータイプの温度調節タイプの半田ごてで400〜420℃に設定します。(通常のハンダ付けは370℃ぐらいのコテ先温度です)

430℃以上の高温で作業すると、ランド自体がはがれる可能性が高くなります。

もれた電解液によってもとのハンダが青くさびている場合は化学変化(緑青)を起こしており、融点が上がっているために加熱してもすぐにハンダが溶けず、2分近くかかります。赤い鉄サビ状態の場合も同じです。

ニッパーでコンデンサを切断するとパターンをはがす確率が高いので、ニッパーの使用は最小限にとどめます。(Classicシリーズの場合は下の注意書を参照)

新しいコンデンサに表面実装タイプを使うと、次回もこの苦労をすることになります。

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長い時間加熱するとコンデンサ自体が熱膨張し破裂して、中のガスが吹きでることがあります。液は飛び散るほどは入っていませんが、一応、目と皮膚を守れる格好で作業します。

ハンダゴテを使う基本は「ハンダゴテを長時間当てない」ですが、もはやまともなハンダの状態ではありませんので注意深く時間をかけ、慎重に対応するしかありません。

ニッパーを使ってコンデンサをはずす場合のポイント

SE/30やIIciでは可能な限りハンダごてを使いますが、腐食の度合いによっては時間をかけてもはずれない場合があります。その場合はニッパーを使うほうが効果的です。SE/30やIIciでは16V47uFの直径6mmのコンデンサがほとんどを占めており、このサイズのコンデンサの場合は、両足を結ぶ方向にたいして直角方向(真横)から刃が当たるようにニッパーで頭部をニッパーで切断します。そうしないと、ニッパーの刃で両足がその中点に引っ張られてしまいランドパターンを傷めてしまいます。

一方、Classicシリーズでは(SE/30のC6のような)直径が4mmの小さなコンデンサが多用されており、両側からハンダごてを当てると過熱状態になってしまい、ランドパターン(両足部分の長方形)がはがれやすくなってしまいます。このためClassicシリーズではニッパーの使用が基本となります。

どの機種であっても、ニッパーでコンデンサを切断する場合は、できるだけ大きなニッパー(16cm程度)で頭部のくぼみを目印に、「水平」に「両足の延長線」の両側方向から内側に向けて切断するのがコツです。

次に、くぼみから下が残っているアルミケースの残骸(通称「座布団」)を真上からニッパーでいくつかに切り分けて取り除きますが、このとき、きちんと切れていないと両足をひっかけて全体をはがしやすいので注意します。黒い樹脂座布団もニッパー先端で確実に切り割りしてから、両足をひっかけないようできるだけ水平方向に取り除きます。ここまでくれば、どんなに腐食したコンデンサの足でも1本ずつハンダごてではずせます。

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